人と出会った時どういう態度をとるか。買い物をする時はどんなふうか。公共の乗り物中ではどうか。エレベーターにはどのように乗るか。

 そんな、あらゆる場面において、日本人が普通にとる態度がある。国ごとに、それが少しずつ違っていたりする。それが、それぞれの文化である。

  作家というものは、その作品を書いている間だけ「作家」である。原稿(げんこう)を書いている時の私は作家だが、原稿を書いていない時の私は、「何を考えているのかわからないへんなやつ」である。実際にそうだ思うし、それでいいと思っている。

  作家というものは、作品を書き上げて「作家」になり、作品を書き終えた後は、「あの作品の作者」という形で「過去の人」となるしかないようなものである。

                   （稿本治「わからない」という方法　集英社）

  自分ってどんな人間だろう。そう考える時、必ず、自分が所属(しょぞく)する会社や学校、それに家族や友人たちの顔が思いかぶのではないでしょうか。

  人間は社会的な生き物です。周囲の人たちとの関係によって、自分自身の立場を確認し、自分自身を高め、成長させるだけでなく、生活を充実(じゅうじつ)させるために、ほかの人たちに働きかけていくものです。

  その意味でいえば、人は人間関係によって育まれていくといっていいでしょう。