私は子供の頃から漫画を読むのが大好きで、よく漫画絵をらくがき(*1)していました。お話を作るのも好きだったので、小学校低学年のころにはストーリのある漫画の真似ごとのようなものを描いて、遊んでいました。
最初、鉛筆だけノートに描いていたのがそのうち原稿用紙やペンというものがあるのを知って、それらを買ってきて使うようになりました。そうして完成させた作品を、中学せいの時に雑誌の漫画募集のコーナーに投稿(*2)しました。何度か投稿した末に、高校一年生のときにデビュー(*3)に値する賞を頂いて、プロになることが決まったのです。
はじめから「どうして漫画家になりたい!」と考えていたかというと、そうではありませんでした。漫画家になれたらいいなあという憧れはありましたが、絶対になれる、と思ってはいかったのです。当時はまだ、自分の可能性というものがどこかに向かって伸びているか、そんなにちゃんとは判断できませんでした。
自分の将来についてまだ深く考えてはいませんでした、また、 ( 1 )小説家や童話(*4)作家になりたいと思ったこともありましたし、アイドル(*5)歌手のようにテレビに出たいねと、友達と歌や踊りを練習したこともあります。映画監督もカメラマンにも、デザイナーもなってみたいと思ったものです。(後略)
(*1) らくがき:書くべきできないところに絵や字を書くこと。
(ただし、ここでは点をつけて特別な意味や使い方である
ことを表している)
(*2)投稿: 原稿を出版社などに送ること
(*3)デビュー: 舞台や試合などに初めて出ること
(*4)童話: 子供のために作られた話
(*5)アイドル :若い人気者