これはビジネス文書に限ったことではないのだが、何であれ文書を書いていると、少しばかり緊張感きんちょうかんを覚えるものだ。書きながら、頭の中でこんなことを考えている。

この書き方でいいのかな。

これ、ひどく下手な書き方じゃないだろうか。

これでわかるかな。

そういう気がしきりに(注1)して、ちょっとしたプレッシャーになっている。だからこそ、文章を書くのは苦手だ、と思っている人もいるのじゃないだろうか。

しかし、その逆もまた真である。文章を書く面白さとは、そういうプレッシャーを感じながら、なんとか諸問題をクリアして、一応のものを書き上げることにあるのだ。
テレビゲームが楽しいのと同じ理屈(りくつ)(注2)である。あれは、攻略(こうりゃく)する(注3)のが簡単ではない様々な障害をかわしながら(注 4)、次々に問題を解決していって、なんとかクリアしていくところが面白いのである。むずかしいからこそ、うまくやったときに楽しいのだ。

文章を書くのも、(1)そういうことである。これでいいのかな、と一抹いちまつの(注5)不安を抱えながら、なんとか書いていくってことを楽しまなければならない。

別の言い方にすると、文章というものは、書く人に対して、うまく書いてくれ、と要求してくるのである。なぜなら、文章とは人と人とのコミュニケーションの道具だからだ。この例外は、自分だけにわかればいいメモと、絶対に他人に見せない日記だけである。

それ以外の文章は、必ず、書く人間のほかに、(2)読む人間がいて完成されるのだ。そして、書いた人の伝えたかったことが、読んだ人にちゃんとわかってこそ、文章は役をはたしたことになる。

(清水義範『スラスラ書ける!ビジネス文書』による)

(注1) しきりに:何度も
(注2) 理屈:ここでは、考え方
(注3) 攻略(こうりゃく)する:うまく解決する
(注4)
かわしながら:避けながら
(注5) 一抹の:ほんの少しの

1. 筆者は、文章を書くときに何がプレッシャーになっていると述べているか。




2. (1)そういうことであるとはどういうことか。




3. (2)読む人間がいて完成されるとはどういうことか。




大手ハンバーガー店が今月16日から30日まで、新商品がまずかったら全額返金するというキャンペーン(注)を実施する。通信販売などでは、注文した商品 が気に入らなければその代金を客に返金するという保証制度は一般的だが、ハンバーガー店のような外食産業では非常に珍(めずら)しい試みだ。味への自信を 示すことが目的で、全国で一斉に行われる。返金は当日限りで、期間中1人1回のみ、それから商品を半分以上食べていないことが条件だ。

(注)キャンペーン:ここでは、販売方法

4. 大手ハンバーガー店が今月16日から実施するのは次のどれか。




森はいつも独特な香りに包まれ、さわやかに感じられるが、それはある物質の効果によるものだ。その物質は、木々が動けない体を守るために自ら作り出すもの で、木につく虫や細菌(さいきん)(注)の増加を防いだり、落ち葉や枯れ木(かれき)が腐(くさ)ったときなどに生じる嫌なにおいを消したりする働きを 持っている。さらにその物質には、人間の神経を安定させる効果もあるという。私たちが森林に入るとリラックスした気分になるのは、このためだ。

(注)細菌(さいきん):非常に小さくて目に見えない生物

5. ある物質の働きについて、この文章からわかることは何か。




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